名入れをした内祝いで幸せのお裾分け

近年、内祝いは入学祝いや出産祝いを頂いた際のお返しとして認識している人が多いようです。もらいっぱなしでは申し訳ないという、日本人の世間のつながりを大切にする精神が受け継がれているからです。しかし本来は、我が家でいいことがあったので幸せのお裾分けとして、近しい人たちに一緒に祝ってもらおうという思いのこもった贈り物をすることでした。この贈り物は現在のような通信手段が確立されていないころ、うれしい出来事があったことを周囲に知らせる手段の一つでもあったのです。

その内祝いの品に、祝いの対象となる人の名入れをすることが流行っています。例えば、出産祝いのお返しの品であるタオルや贈り物につけられたのし紙に、刺しゅうや筆文字で生まれた子供の名入れが施されているものが代表的です。名入れをすることで幸せのお裾分けをした人に、生まれたばかりの子供の名前を覚えて頂く機会を増やすことになります。また、遠く離れたところに暮らす親戚などは、その名前がつけられた子にいつか会いたいという、少し先の予定を思い浮かべるきっかけにもなります。

デパートや通販のカタログも十年前に比べると、内祝いの品や名入れの形も多様化しています。タオルやお皿などの日用品だけではなく、カステラやクッキーのような食品に名入れをする例も増えているようです。形式ばったものやしきたり、作法を気にすることなく気軽にものを贈られるようになりました。難しいことはわからないけれど、内祝いの習わしを用いて思いを伝えたいという現代人にもうれしい方法がたくさんあるのです。

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